「復職できた」=軽い、ではない:高次脳機能障害/TBIで復職実績が逆に不利になるのを防ぐ(弁護士向け)

結論(先に要点)

高次脳機能障害(TBIを含む)の案件では、「復職できた」「一度は働けていた」という事実が、相手方から 「就労可能=軽症」 と整理されやすいです。
しかし実務上、復職はゴールではなく、むしろそこで 支援の必要性・負荷耐性・対人面の問題 が露出し、労働能力喪失や将来見通しの争点が立ち上がることがあります。

復職実績は武器にも弱点にもなります。重要なのは、復職を「できた/できない」で語るのではなく、復職が成立した条件と、崩れたポイントを時系列で整理し、生活支障として説明できる形にすることです。


復職実績がある案件で起きがちな落とし穴

  • 「復職=問題なし」と要約され、支障の具体が議論から落ちる
  • 配慮(業務軽減・時短・二重チェック等)が前提なのに、“通常勤務”として扱われる
  • ミスやトラブルが出ても「本人の能力」「適応」「性格」で切られる
  • 医療記録が外来中心で薄く、復職後の破綻が医療側文書に乗らない
  • 休職・退職に至る経過が整理されず、因果や程度が曖昧になる

復職案件は、資料が揃っているようで「生活期の一次情報」が不足しやすいのが特徴です。


復職は「条件付きの成立」を示すイベントになりやすい

高次脳機能障害の復職は、次のような“条件”が付いて成立していることがあります。

  • 業務内容の限定/軽易化
  • 周囲の見守り、確認、指示の細分化
  • 人間関係の配慮、対人負荷の回避
  • 休憩・時短・通院配慮
  • 家族が生活基盤を支えている(予定・服薬・金銭等)

この条件が資料上で見えないと、復職は「健常と同じ就労」と誤解され、主張が弱くなります。
復職の価値は、成立した条件を“根拠付き”で示せるかにあります。


崩れ方の“質”が争点を動かす(ミスの種類、頻度、波及)

復職後に起きる問題は、単に「うまくいかなかった」ではなく、どんな崩れ方かが重要です。

  • 注意配分の破綻(複数作業で崩れる)
  • 遂行機能の問題(段取り、優先順位、確認が抜ける)
  • 記憶・学習の問題(新しい手順が定着しない)
  • 病識の弱さ(指摘を受けても改善しない)
  • 対人面(言い方、距離感、衝動性)
  • 疲労で崩れる(持続性の問題)

これらが“出来事”として整理されると、復職実績がむしろ生活支障の根拠になります。
逆に、出来事が抽象的なままだと「本人の評価」「主観」に回収されやすいです。


復職は「急性期→回復期」の線につなげたときに強くなる

復職後の支障を争点にするなら、復職だけを見せても弱く、急性期・回復期から一本線でつながる必要があります。

  • 急性期:混乱・健忘等の出発点
  • 回復期:OT/ST・看護で見えた課題(条件付き成立)
  • 生活期(復職):業務上の破綻として顕在化

この線が通ると、「復職できた=軽い」を、「復職で露出した=支障が生活に落ちている」へ転換しやすくなります。


実務で強い進め方:一次確認で「復職の条件」と「崩れ方」が資料上で言えるか判定する

復職案件は、資料の種類が多く、しかも散在しがちです。
一次確認では、手元資料の範囲で

  • 争点に対してどこまで言えるか
  • 復職が成立した条件が資料上で示せるか
  • 崩れ方が“出来事”として固定できているか
  • 不足資料・追加取得の優先順位
  • 次におすすめの対応(詳細/依頼状ドラフト/医学意見書)

を短時間で整理し、「復職実績」を弱点にしない設計へつなげます。


ご相談(弁護士・法律事務所向け)

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  • 一次確認(資料スクリーニング):通常 33,000円/3営業日
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  • 医学意見書:220,000円(税込)
  • 将来費用:将来費用スクリーニング 55,000円(5営業日)/将来費用積算表 220,000円〜

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注意:本記事は情報提供です。医療行為(診断・治療)ではなく、後遺障害等級の認定・訴訟結果等の保証はできません。個人の方からの直接依頼は原則お受けしていません。

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