結論(先に要点)
高次脳機能障害の立証では、「資料が足りない」こと自体よりも、何を先に取りに行くかの順番で、その後の争点整理の精度が変わります。
優先順位は、(1)急性期の根拠、(2)経過の一貫性、(3)生活機能・検査の接続、の順で組み立てると事故が減ります。
1. 優先順位を付けないと起きる“実務上の損”
- 取り寄せに時間がかかり、納期だけが伸びる
- 記録が増えるほど「矛盾」や「飛び」が埋もれる
- 主治医宛依頼状や意見書に進む前に、争点が固まらない
2. まず取りに行く3点(優先A)
優先A-1:救急〜初診の原記録(当日〜翌日)
目的:症状の“出発点”と事故直後の状況を押さえる
例:救急搬送記録、救急外来初診記録、意識レベル、神経学的所見、鎮静/鎮痛の影響の記載 など
ここが薄いと「急性期所見が弱い」反論に対して、土台が作りにくいです。
優先A-2:入院初期の経過記録(概ね数日)
目的:経過の一貫性(整合性)を作るための“連続した記録”を確保
例:医師経過、看護記録、夜間の様子、見当識、指示理解、危険行動、リハ初期評価(PT/OT/ST)など
医師記録が短くても、看護記録に重要情報が残っていることが多いです。
優先A-3:画像の読影レポート(文章)
目的:画像の議論を“客観的文書”で固定する
例:CT/MRIの読影所見(放射線科/担当医記載)
※一次確認ではDICOMは必須ではありません(必要時に別途)。
3. 次に取りに行く(優先B)
優先B-1:転院・退院前後の要約+原記録の“穴埋め”
目的:時系列の空白を埋める
例:転院時診療情報提供書、退院サマリー、外来フォロー開始時の記録
優先B-2:リハ記録(期間のまとまりで)
目的:生活機能の推移(改善/停滞)を説明できるようにする
例:リハ総合実施計画書、OT/ST評価、家族指導、復職支援関連
4. 争点に直結する(優先C:状況により)
- 神経心理検査結果(実施時期・再検の有無に注意)
- 就労関連資料(勤務状況、配置転換、休職経過)
- 学校/家庭での支援・観察記録(必要時)
5. 優先順位を決める“実務ルール”
- まず「急性期〜数日」を固めてから、次にリハ・外来へ
- 取り寄せは「時期で束ねる」(バラ取りすると空白が残る)
- 用語ゆれは前提として、同一の時間軸に置いて確認する
相談(一次確認:22,000円/3営業日)
実案件の資料整理は、一次確認(資料スクリーニング)より承ります(弁護士・法律事務所向け/メールのみ)。
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※本記事は情報提供であり、医療行為・診断ではありません。

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