主治医への依頼状(ドラフト)の使いどころ:高次脳機能障害/TBIで「書いてほしいこと」が伝わらない問題を減らす(弁護士向け)
結論(先に要点)
高次脳機能障害(TBIを含む)の事件では、主治医に意見書を依頼しても、返ってくる内容が「診断名と経過の要約」で止まり、争点(労働能力・監督の必要性・生活上の支障)に刺さらないことが少なくありません。
このギャップは、医師の能力というより、依頼側が求める情報が「法的争点」ベースで、医療側が書きやすいのが「医療経過」ベース、という前提の違いから起きます。
そこで有効なのが、主治医の負担を増やさずに、必要な論点を伝えるための依頼状(ドラフト)です。
意見書の出来不出来は、依頼状の段階でかなり決まります。
主治医依頼で起きがちな落とし穴
主治医対応でつまずく典型は次のとおりです。
- 依頼目的が曖昧で、医師が「何を書けばよいか」判断できない
- 争点に必要な要素(時期・具体・生活機能)が抜け、結局こちらで補うことになる
- 「画像軽微」「検査良好」など反論されやすい点に触れられず、相手の整理が通りやすくなる
- 医師に過度な法的判断を求める文面になり、協力を得にくくなる
- 資料が多すぎて、医師が重要点を拾えず“無難な要約”になる
依頼状は、医師に論破してもらうためではなく、医師が書ける範囲で、争点に必要な事実と評価が出るように設計するものです。
依頼状(ドラフト)が効くのは「医師が薄い」のではなく「こちらの要求が伝わっていない」場面
意見書が薄くなる原因は、医師の姿勢よりも、次の構造で起きがちです。
- 医師は、日常診療で必要な範囲の記載に慣れている
- 法的争点は、日常診療の文脈とは別の整理を要求する
- こちらが求めるのは「生活機能の具体」だが、診療録は「医療行為の記録」に寄る
依頼状(ドラフト)は、医師に新しい作業を強いるのではなく、医師が既に把握していること/記録に残っていることを、争点に沿って表に出してもらうための補助線になります。
依頼状は「頼み方」より「渡す材料」で結果が変わる
依頼状の文言以上に、医師が書きやすくなるのは、依頼時に渡す材料が整理されていることです。
- 争点(何を証明したいか)が絞れている
- 時系列が整理されている(いつ何が起きたか)
- 重要所見の根拠が示されている(どの資料のどのあたりか)
逆に、材料が未整理だと、医師は安全に「要約」へ寄り、争点に刺さりにくくなります。
当オフィスでは、依頼状ドラフトを単体で作るのではなく、手元資料の状況に応じて、何を渡すべきか/渡さない方がよいかも含めて設計します。
「書いてほしいこと」を増やすほど、意見書は薄くなることがある
依頼状でありがちな失敗は、盛り込みすぎです。
論点を詰め込みすぎると、医師は対応しきれず、結果として
- 触れやすいところだけ触れる
- 書きやすい一般論だけになる
- 争点に必要な核心が落ちる
という形で薄くなることがあります。
依頼状ドラフトは、医師の負担・時間・専門領域を踏まえ、最大限通る“必要最小限の焦点”に絞るのが現実的です。
実務で強い進め方:一次確認→依頼状ドラフト→医学意見書(必要に応じて)
依頼状は「とりあえず送る」より、次の順で組むと手戻りが減ります。
- 一次確認で、現時点の資料でどこまで言えるか/不足は何かを判定
- 不足が埋まる見込みがあるなら、依頼状ドラフトで主治医に伝えるべき焦点を固定
- 争点に対して医学的整理が必要なら、医学意見書へ進む
この流れにすると、依頼状が「願望」ではなく、根拠に基づく依頼になり、回答の質が上がりやすくなります。
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注意:本記事は情報提供です。医療行為(診断・治療)ではなく、後遺障害等級の認定・訴訟結果等の保証はできません。個人の方からの直接依頼は原則お受けしていません。
