主治医宛「依頼状ドラフト」で抜け漏れを減らす:高次脳機能障害/TBIの意見書依頼を通す要点(弁護士向け)

結論(先に要点)

医師への依頼は「お願い文」ではなく、必要情報が落ちない枠組みです。実務上は、

  • 目的(何の手続に使うか)
  • 対象期間(いつ〜いつの評価か)
  • 根拠資料(資料名・日付・該当箇所)
  • 争点(何を明確化したいか)
  • 質問(医師が答えられる粒度)
    をセットで渡すと、後から使える文書になりやすいです。

1. 依頼状が弱いと起きやすいこと

  • 記載が抽象的で、根拠資料が不明(「所見は前回同様」になりやすい)
  • 急性期〜現在の経過が飛ぶ(時系列がつながらない)
  • 生活上の支障が医療文書に乗らない(IADL/就労への接続が弱い)
  • 画像所見が軽微/陰性のとき、臨床像との橋渡しが不足する(TBIを含む案件で典型)

2. まず入れるべき「最低限の5点」

① 目的(提出先・用途)

  • 自賠責申請/異議/訴訟など、用途を明示(粒度が決まる)

② 対象期間

  • 受傷直後〜現在、必要なら症状固定前後など区切りを明示

③ 根拠資料の渡し方

  • 「資料名・日付・該当箇所」を添える(医師の負担が下がる)

④ 争点(何をはっきりさせたいか)

  • 画像と症状の関係、神経心理検査の位置づけ、生活機能への影響、他要因の整理 等

⑤ 質問の形

  • 「高次脳機能障害ですか?」ではなく、
    • 経過の要約(資料ベース)
    • 検査所見と臨床像の整合
    • 生活機能への影響(説明可能な範囲)
    • 他要因がある場合の根拠と限界
      など、医師が書ける形にする

3. ドラフト化すると強くなるポイント

  • 断片資料を、根拠付きで一本の時系列に置ける
  • 「医師に聞くべき質問」が、争点に直結した形で整理される
  • 反論されやすい箇所(空白・矛盾)が事前に見える

4. 反論されやすいポイント(事前に見える化)

  • 目的・提出先が不明で、必要な粒度が出ていない
  • 根拠資料が示されず、後から「どこに書いてある?」になる
  • 生活機能(IADL/就労/対人)への接続が弱い
  • 他要因(既往、精神症状等)の扱いが曖昧で突かれる

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※本記事は情報提供であり、医療行為・診断ではありません。

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