急性期・初期対応で差がつく:救急/入院初期の「看護記録」を立証の主役にする(高次脳機能障害/TBI|弁護士向け)

結論(先に要点)

高次脳機能障害(TBIを含む)は、後から「画像が軽微」「症状は主観」と言われやすい類型です。そこで効くのが、救急〜入院初期に残る看護記録です。
看護記録は診察よりも観察時間が長く、混乱・健忘・不穏・危険行動などが行動として残りやすいため、因果と重症度の土台になり得ます。

ただし看護記録は量が多く、定型文も混ざり、重要所見が埋もれやすい資料です。拾い方を誤ると、「落ち着いている」「指示理解良好」といった記載だけが前面に出て、逆に不利になることもあります。
実務では、手元資料の範囲で「どこまで言えるか」を先に判定し、必要な追加取得へ最短でつなげるのが合理的です。


看護記録を押さえないと起きがちな落とし穴

  • 急性期の状態が医師の短い記載だけになり、因果と重症度が薄くなる
  • 「画像軽微」に議論が回収され、臨床経過(混乱・健忘)が消える
  • 生活期の支障を主張しても、「急性期は軽い」と整理されて切られる
  • 家族申告に依存し、「主観」「後出し」と反論されやすくなる
  • 急性期〜回復期〜生活期の一本線が作れず、争点が散る

看護記録は“派手さ”はないですが、押さえると案件の骨格が固まります。


看護記録が強い理由:評価語ではなく「観察事実」が残る

看護記録の価値は、診断名や評価尺度よりも、日々の観察にあります。
高次脳機能障害の立証で効きやすいのは、例えば次のような領域です。

  • 呼びかけへの反応、指示の通り方、注意の向きやすさ
  • 夜間不穏、興奮、睡眠覚醒リズムの乱れ
  • 同じ質問の反復、理解のズレ、見当識の揺れ
  • 危険行動、転倒リスク、点滴自己抜去などの安全面
  • 家族面会時の反応や、説明場面での様子

これらが“行動”として残ると、「主観」と切られにくくなります。


見落としやすいポイント:同じ言葉でも「いつ」「どの状況か」で意味が変わる

看護記録は、短い表現が繰り返されます。
ただし「落ち着いている」「理解良好」のような記載でも、

  • 受傷直後なのか/数日後なのか
  • 鎮静・鎮痛・環境調整後なのか
  • 日中なのか/夜間なのか
  • 面会直後なのか

で意味が変わります。
このため、看護記録は“良い/悪い”の切り取りではなく、時系列の中で位置づける必要があります。


急性期の看護記録は、回復期のOT/STとつないで初めて強くなる

急性期で残った混乱・健忘の事実が、回復期以降の

  • 注意・遂行・記憶の課題(OT/ST、病棟所見)
  • 生活期の破綻(IADL・就労・対人)

へつながると、「軽症」整理に耐える“線”になります。
逆に、急性期が点で終わると、「一過性」「せん妄」「精神的」と切られやすくなります。


実務で強い進め方:一次確認で「核の所見」と「弱点」を同時に押さえる

看護記録は、強い材料がある一方で、不利に見える記載も混ざります。
そのため実務では、看護記録を読み込む前に、手元資料の範囲で

  • 争点に対してどこまで言えるか
  • 核になり得る所見は何か
  • 弱点になり得る記載はどこか
  • 次に何を取れば線が通るか

を判定し、次工程(詳細/依頼状ドラフト/医学意見書)に繋げるのが合理的です。


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注意:本記事は情報提供です。医療行為(診断・治療)ではなく、後遺障害等級の認定・訴訟結果等の保証はできません。個人の方からの直接依頼は原則お受けしていません。

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