神経心理検査の“読み違い”を防ぐ:高次脳機能障害/TBIで点数だけにしない立証(弁護士向け)
結論(先に要点)
高次脳機能障害(TBIを含む)の事件では、神経心理検査が「客観的」として前面に出る一方で、点数の見せ方・前提条件・実施時期の整理が甘いと、こちらの主張が「検査は良い=軽い」に回収されやすくなります。
実務では、検査を“増やす/並べる”前に、手元資料の範囲で争点に対して
- どこまで言えるか
- 不足は何か
- 次に何を集めるか
を短時間で判定し、意見書や依頼状に直結する材料へ整えるのが堅いです。
神経心理検査を押さえない(または押さえ方を誤る)と起きがちな落とし穴
- 検査結果が独り歩きし、生活上の支障(就労・IADL・対人)との接続が薄いまま争われる
- 相手方から「点数が良い」「改善している」と整理され、臨床経過(急性期〜回復期)や支援の必要性が消える
- 実施時期がばらついているのに、時系列を組まずに提示してしまい、“いつの状態か”が曖昧になる
- 前提条件(疲労、鎮静、疼痛、睡眠、見当識、せん妄等)の影響が検討されず、結果の解釈が一方向になる
- 検査名や下位項目が多く、裁判所・調整担当にとって「結局何が言えるのか」が見えず、主張が通りにくい
検査は強い武器ですが、「読み筋」を間違えると、武器ごと相手の主張を補強してしまいます。
視点:検査結果は“点数”より「位置づけ」で強くなる
神経心理検査は、点数そのものよりも、次の位置づけが明確なときに立証力が上がります。
- その検査が どの機能を見ているか(争点とどう関係するか)
- いつの時点の能力を反映するか(急性期・回復期・生活期のどこか)
- 結果が 日常生活・就労場面の具体と整合するか(OT/ST、看護、就労資料など)
- 反対解釈(「正常範囲」「代償で対応可能」等)に対して、どこが弱点・反論ポイントになり得るか
当オフィスでは、検査を「説明」するのではなく、事件の争点に対して使える形に再配置します。
視点:点数が良くても「争点が残る」パターンがある(=そこを落とさない)
高次脳機能障害では、一定の点数が出ていても、なお争点になりやすい領域があります。典型的には、
- 「検査室では成立」でも、生活・就労の複雑さで破綻する
- 代償(メモ、周囲の支援、環境調整)が前提で成り立っている
- 日内変動・疲労・ストレス負荷で崩れる
- 病識・対人・社会的行動の問題が中心で、点数に出にくい
ここを説明できるかどうかで、「点数が良い」反論に対する耐性が変わります。
そのため、検査単独で勝負せず、生活機能へ接続できる記録(OT/ST、看護、就労)と“線”で示すのが実務的です。
視点:反論されやすいのは「改善」「正常範囲」「前提条件」「時期ズレ」
相手方が取りやすい反論は概ねパターン化しています。特に多いのは、
- 改善している(=将来介護や労働能力喪失を薄める方向)
- 正常範囲(=障害の存在や程度を下げる方向)
- 前提条件が整っていない/主観的(=信用性を落とす方向)
- 実施時期が争点時点とずれている(=因果や程度を切る方向)
これに備えるには、検査結果を「良い/悪い」で切らず、急性期〜回復期〜生活期の時系列の中で、検査の意味を固定する作業が必要です。
実務で強い進め方:まず一次確認で「進むべきか/集めるべきか」を決める
神経心理検査は、追加実施や再検査の判断も絡みやすく、進め方を誤ると時間とコストが膨らみます。
そこで、まず一次確認で、手元資料の範囲から
- A:意見書へ進む合理性が高い
- B:追加資料で可能性が上がる
- C:現時点では難しい(立証設計の再検討が必要)
を判定し、次に何を集めるべきか(どれを優先するか)を整理すると、後工程が速くなります。
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注意:本記事は情報提供です。医療行為(診断・治療)ではなく、後遺障害等級の認定・訴訟結果等の保証はできません。個人の方からの直接依頼は原則お受けしていません。
