資料取り寄せの優先順位:高次脳機能障害/TBIで「全部ください」をやめると強くなる(弁護士向け)

結論(先に要点)

高次脳機能障害(TBIを含む)の立証は、資料の量よりも、争点に効く一次資料を、必要な期間・必要な粒度で揃えられるかで決まりやすいです。
ところが実務では「とりあえず全部取り寄せる」→「量が多くて整理が間に合わない」→「結局、医師文書と検査点数だけで戦う」という流れになりがちです。

資料取り寄せは、最初に優先順位を付けるだけで、時間もコストも減り、しかも立証は強くなります。
そのためには、手元資料の範囲で、争点に対して

  • どこまで言えるか
  • 不足は何か
  • 次に何を集めるか

を短時間で整理してから動くのが合理的です。


「全部取り寄せ」から始めると起きがちな落とし穴

  • 量が膨大になり、重要所見が埋もれて、整理が後手になる
  • 取得コスト・時間が先に膨らみ、方針転換がしにくくなる
  • 争点に効く資料(急性期・看護・OT/ST・就労など)が後回しになり、相手の要約が先に固まる
  • 「ある資料」ベースで主張が組み上がり、「必要な資料」を取りに行けなくなる
  • 医師への依頼(依頼状/意見書)も、資料がまとまらず、薄い回答になりやすい

高次脳機能障害は特に、資料が増えるほど強くなるとは限りません。むしろ、増えた分だけ“弱い記載”も増えます。


優先順位が上がりやすいのは「因果」と「生活支障」を固定する資料

取り寄せを設計するとき、狙いは大きく2つです。

  • 事故直後からの経過で、因果と重症度の土台を作る
  • 生活期で、就労・IADL・対人の支障を具体で固定する

この2点に効く資料から先に揃えると、争点の骨格が早く固まり、後の意見書依頼も通りやすくなります。


取り寄せの“難しさ”は、病院ではなく「期間の切り方」と「粒度」にある

同じ病院の同じ診療科でも、取り寄せ方で結果が変わります。

  • 期間が短すぎて、肝心の急性期・回復期の端が抜ける
  • 期間が長すぎて、争点と関係の薄い記載が大量に混ざる
  • サマリー中心で、看護・リハの一次記録が抜ける
  • 画像レポートはあるが、撮影時期や臨床経過との接続ができない

「何を取るか」だけでなく、「どの期間を」「どの粒度で」取るかが重要です。ここを誤ると、資料は揃っているのに立証は弱い、という状態になります。


取り寄せは「一回で完璧」より、二段階で確実にする方が速い

高次脳機能障害の案件では、最初から完璧なリストを作るより、

  • 手元資料で見立てを立てる
  • 不足の優先順位を決めて追加取得する
  • 追加取得後に、次の一手(依頼状/意見書/追加意見)へ進む

という二段階の方が、結果的に早く、無駄が少なくなります。
一次確認は、この「無駄を止める」段階として機能します。


実務で強い進め方:一次確認で「取り寄せの設計図」を作る

資料取り寄せで一番もったいないのは、集めた後に「争点に効かなかった」と気づくことです。
一次確認では、手元資料から

  • 何が核になり得るか
  • どこが空白か
  • どの資料を優先すべきか

を整理し、必要に応じて、次工程(詳細/依頼状ドラフト/医学意見書)へつなげます。
これにより「全部ください」ではなく、争点に向けて最短距離の取り寄せができます。


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注意:本記事は情報提供です。医療行為(診断・治療)ではなく、後遺障害等級の認定・訴訟結果等の保証はできません。個人の方からの直接依頼は原則お受けしていません。

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