カルテに「高次脳機能障害」の診断名がない案件:それでも争点を組み立てるために最初に見るべきもの(TBI|弁護士向け)
結論(先に要点)
高次脳機能障害(TBIを含む)の案件でも、医療記録上は「高次脳機能障害」と明記されず、診断名が曖昧/別名(例:脳震盪、記憶障害、適応障害など)で進んでいることがあります。
この状態のまま進めると、相手方に「診断がない=後遺障害なし」と要約されやすく、因果や程度の議論が不利になりがちです。
ただ、診断名がないこと自体が直ちに「立証不能」を意味するわけではありません。実務では、診断名の有無よりも、急性期→回復期→生活期の一貫した臨床経過と生活支障の具体が、資料上で線になっているかが重要です。
まず手元資料で「どこまで言えるか/不足は何か/次に何を集めるか」を短時間で整理し、診断名がない状態でも崩れにくい設計にします。
診断名がないまま進めると起きがちな落とし穴
- 相手方に「診断なし」を起点に、因果・障害の存在・程度を一括で否定される
- 画像が軽微/陰性だと、「軽症」ストーリーが完成しやすい
- 検査点数が一定程度出ていると、「正常域」反論で押し切られやすい
- 生活上の支障が医療記録に乗らず、家族申告中心になって“主観”扱いされる
- 時系列の空白や矛盾が放置され、信用性の議論に引き込まれる
診断名がない案件ほど、「資料の線」が切れていると一気に苦しくなります。
「診断名が付かない」こと自体は珍しくない
診断名が明記されない背景には、いくつかの実務的事情があります。
- 急性期ではまず生命・身体管理が優先され、認知面の評価が後回しになりやすい
- 外来は要約的になりやすく、生活上の支障が記載に落ちにくい
- 医療者側では症状を機能別(記憶、注意、遂行など)に書き、総称としての診断名を使わないことがある
- 病識の問題などで、生活期の困りごとが医療側に十分伝わっていないことがある
問題は「診断名がないこと」より、診断名がない状態で相手に都合よく整理されることです。
診断名がない案件で勝負になるのは「急性期の出発点」と「生活期の具体」
診断名が弱い案件ほど、次の2点が土台になります。
- 事故直後の客観事実(意識、健忘、混乱、不穏など)
- 生活期の破綻(就労・IADL・対人)の具体が、一次資料として固定できるか
この2点が“線”でつながると、「診断名がない」ことは致命傷になりにくくなります。
逆に、どちらかが薄いと「主観」「別要因」で切られやすくなります。
「検査が良い/画像が弱い」反論に回収されないために必要なのは接続
診断名がない案件は、反論が画像・点数に集中しがちです。
ここで重要なのは、画像や点数を否定することではなく、急性期〜回復期〜生活期をつなぐことで、争点を「臨床経過と生活機能」に戻すことです。
- 回復期のOT/ST・看護に、生活に落ちる具体があるか
- 外来が薄いなら、どの資料で生活期の実態を支えるか
- 良好所見があるなら、条件(支援・場面・負荷)を説明できるか
この接続ができると、診断名の空白を“構造”で埋められます。
実務で強い進め方:一次確認で「診断名がなくてもA/B/Cどれか」を先に判定する
診断名がない案件は、最初の見立てを誤ると手戻りが増えます。
一次確認では、手元資料の範囲で
- 診断名がない状態でも、争点に対してどこまで言えるか
- 不足はどこか(急性期/回復期/生活期のどこが薄いか)
- 追加取得の優先順位(何を取れば線が通るか)
- 次におすすめの対応(詳細/依頼状ドラフト/医学意見書)
を短時間で整理し、「診断名がない」ことを相手の武器にさせない設計に繋げます。
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注意:本記事は情報提供です。医療行為(診断・治療)ではなく、後遺障害等級の認定・訴訟結果等の保証はできません。個人の方からの直接依頼は原則お受けしていません。
