「転院先で“問題なし”」と言われた案件:高次脳機能障害/TBIでサマリー評価に負けない組み立て(弁護士向け)
結論(先に要点)
高次脳機能障害(TBIを含む)の案件では、転院先(回復期・外来など)の記録に「問題なし」「落ち着いている」「自立」などの評価が並び、相手方に「軽症」整理されやすいことがあります。
しかし、転院先の評価は、場面(環境が整った病院)や時期(急性期を過ぎた後)に依存しており、それだけで生活期の支障が否定されるとは限りません。
重要なのは、「問題なし」を否定することではなく、
- その評価が置かれた条件(場面・支援・負荷)
- 転院前(急性期)の客観事実
- 転院後(生活期)での破綻の具体
を時系列でつなぎ、評価語に回収されない“線”を作ることです。まず手元資料で「どこまで言えるか/不足は何か/次に何を集めるか」を短時間で整理するのが合理的です。
「問題なし」評価があると起きがちな落とし穴
- 相手方が評価語を切り取り、「障害なし」「軽い」で固定する
- OT/ST・看護の具体があるのに、要約評価が勝ってしまう
- 生活期の破綻が「別要因」「適応」で切られる
- 記録間の矛盾が整理されず、信用性の争いに引き込まれる
- 追加資料の取得が後手になり、相手のストーリーが先に完成する
転院先の「問題なし」は、放置すると相手の結論になりやすい言葉です。
「問題なし」は“結論”ではなく、その施設・その時点の観察にすぎない
転院先が回復期病棟やリハ施設の場合、環境は整っており、生活上の複雑さ(就労、家庭の役割、対人負荷)は限定されます。
そのため、病院内で「問題なし」とされても、生活期で崩れるケースはあり得ます。
大事なのは、「病院内で問題が出にくい」ことを前提に、生活期に落ちたときの支障を、別資料で具体化できているかです。
評価語に対抗するのは、評価語ではなく“条件”と“出来事”
「問題なし」「自立」といった評価語に対して、こちらも「問題あり」と言っても水掛け論になります。
争点で効くのは、
- その状態が成立する条件(見守り、声かけ、環境調整、負荷の低さ)
- 条件が外れたときに起きる出来事(就労ミス、対人トラブル、IADL破綻等)
- それが事故後経過として一貫していること
です。
条件と出来事を時系列で固定できれば、「問題なし」は“限定された場面の所見”として位置づけられます。
転院を挟むと「一次記録が抜けてサマリーだけになる」ことが多い
転院時は、診療情報提供書や退院サマリーが中心になり、看護・OT/STの一次記録が抜けやすくなります。
高次脳機能障害で争点になりやすいのは、要約に載りにくい生活支障や支援の必要性なので、サマリー中心だと「軽い」方向に傾きがちです。
転院先の評価語が強いほど、転院前の一次記録(急性期の看護、回復期のOT/STなど)を押さえられているかが勝負になります。
実務で強い進め方:一次確認で「評価語の弱点」と「線を太くする資料」を決める
「問題なし」が並ぶ案件は、反論文言を考える前に、手元資料で
- 争点に対してどこまで言えるか
- 「問題なし」がどの場面・時期の評価か(限定性)
- それに対抗できる一次資料がどこにあるか(急性期・OT/ST・看護・就労等)
- 不足資料・追加取得の優先順位
- 次におすすめの対応(詳細/依頼状ドラフト/医学意見書)
を短時間で整理し、評価語に負けない構造へつなげます。
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注意:本記事は情報提供です。医療行為(診断・治療)ではなく、後遺障害等級の認定・訴訟結果等の保証はできません。個人の方からの直接依頼は原則お受けしていません。
