結論(先に要点)
高次脳機能障害(外傷性脳損傷:TBIを含む)の立証で、医師文書が要約的なときほど、OT/ST記録が具体の根拠になります。実務上は、
- いつの記録か(時期)
- どの課題で、何ができず、どう介入したか(具体)
- 生活機能(IADL/就労/対人)へどう波及しているか(接続)
を、資料名・日付・該当箇所付きで拾うのが堅いです。
OT/ST記録を見ないと起きがちな落とし穴
- 医師文書が短く、症状が「抽象語」だけになる(例:記憶障害、注意障害)
- 神経心理検査の点数だけの勝負になり、反論が増える
- 「生活上の支障」が医療記録に乗らず、家族申告偏重と見なされやすい
- 病棟内では問題なく見えるのに、家庭・就労で崩れる理由が説明できない
視点①:OT記録の読みどころ(生活課題に直結)
OTは「生活動作・段取り・注意・遂行」系の具体が出やすいです。
拾いたい典型は、次のような“行動としての所見”です。
- 手順の抜け・順序の入れ替わり(遂行機能)
- 二重課題で破綻(注意配分)
- 見当識、時間管理、金銭管理の困難(IADL)
- 新しい課題の学習が定着しない(記憶/学習)
- 危険予測の弱さ(安全面)
※「できた/できない」だけでなく、どんな支援でできたか(声かけ、手順書、環境調整)が重要です。
視点②:ST記録の読みどころ(コミュニケーションと認知)
STは失語だけでなく、認知コミュニケーション(会話・理解・社会性)に触れることがあります。
拾いたい典型は、
- 会話の逸脱、脱線、話のまとまりの悪さ
- 指示理解のズレ(複数指示で崩れる等)
- 作話・取り繕い・自己評価のズレ(病識/メタ認知)
- 対人場面での不適切さ(社会的行動)
ここも「場面」「頻度」「介入」が書かれていると強いです。
視点③:検査・画像・医師文書への接続(“単独資料”にしない)
OT/ST記録を強くするのは、単体で語らず、接続することです。
- 神経心理検査:実施時期と前提条件を踏まえ、OT/ST所見と整合するか
- 画像:所見の有無にかかわらず、臨床経過(急性期〜回復)とOT/STの変化を同一時系列に置く
- 医師文書:要約的でも、OT/STの具体を根拠として「臨床像」を補う材料になる
実務で強い整理の仕方(最小の型)
OT/ST記録は、次の最小の型で抜き出すと争点整理に使いやすいです。
- ①日付(いつ)
- ②課題(何をやった)
- ③観察所見(何がどう困難だった)
- ④介入(どんな支援で改善/維持した)
- ⑤生活機能への示唆(IADL/就労/対人への接続)
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※本記事は情報提供であり、医療行為・診断ではありません。

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