生活機能(IADL/就労/対人)を“記録”にする:高次脳機能障害/TBIで反論されにくい集め方(弁護士向け)

結論(先に要点)

高次脳機能障害(TBIを含む)は、点数や診察室所見だけだと「主観」「誇張」と反論されがちです。実務上は、

  • IADL(段取り、金銭、服薬、予定管理等)
  • 就労(ミスの型、再現性、環境負荷)
  • 対人(衝動性、配慮、会話の破綻等)
    を、時系列で・具体例として・第三者性を混ぜて整理すると強いです。

生活機能を押さえないと起きがちな落とし穴

  • ADL自立=問題なし、と短絡される(IADLの困難が落ちる)
  • 家族申告だけに見え、「主観」と言われやすい
  • 点数と実生活の不一致を突かれる(検査結果の扱いが難しくなる)
  • 「できる場面」と「崩れる場面」の差を説明できない

視点①:IADLは“課題の種類”で切る(できない理由が見える)

IADLは「家事ができない」より、どの工程で崩れるかが争点になります。
拾う切り口は、

  • 予定管理(忘れる/二重予定/先延ばし)
  • 金銭(支払忘れ/衝動買い/計算はできても管理できない)
  • 服薬(飲み忘れ/重複/指示の理解ズレ)
  • 手順(段取り、優先順位、途中で別作業に逸れる)
  • 安全面(火、鍵、運転、危険予測)

「頻度」「再現性」「条件(疲労・環境)」があると強くなります。

視点②:就労は“ミスの型”と“環境負荷”で切る

就労は、単に「働けない」ではなく、次の形にすると整理しやすいです。

  • ミスの型:抜け、順序違い、確認不足、同時処理で崩れる、対人でトラブル等
  • 環境負荷:マルチタスク、騒音、割り込み、納期、接客、運転 等
  • 補助での改善:メモ、手順書、声かけ、業務限定でどう変わるか

「診察室では良好」でも「職場で破綻」する理由を説明できる形になります。

視点③:第三者性(職場・支援者・リハ)と医療記録への接続

生活機能は、第三者性が入ると反論耐性が上がります。例として、

  • 職場の記録(配置転換、指導内容、ミスの具体、勤務継続の経過)
  • 支援者(就労支援、相談員、訪問リハ等)の記録
  • OT/STの具体所見
  • 家族メモ(最も量が出るが、単独にならないよう接続する)

ポイントは、これらを医療・リハの時系列の中に置くことです(バラバラに提出すると弱く見えます)。

実務で強い整理の仕方(最小の型)

生活機能は、次の最小の型で“記録化”すると、争点整理に使えます。

  • ①日付(いつ)
  • ②場面(家庭/職場/対人)
  • ③出来事(何が起きた:具体)
  • ④頻度・再現性(どれくらい起きるか)
  • ⑤根拠(家族メモ・職場資料・支援者記録・医療/リハ記録の該当箇所)

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※本記事は情報提供であり、医療行為・診断ではありません。

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