結論(先に要点)
退院サマリーと診療情報提供書(紹介状)は、断片資料をつなぐ「背骨」になりやすい資料です。高次脳機能障害(外傷性脳損傷:TBIを含む)案件では、
- 急性期〜退院までの経過の要約
- 退院時点の所見(できること/できないこと)
- 画像・検査・リハの位置づけ
- 転院・通院の目的(次に何を評価するか)
がまとまることが多く、根拠付き時系列の起点にしやすいです。
サマリー/紹介状を軽視すると起きがちな落とし穴
- 施設が変わるたびに、経過が“分断”されて空白ができる
- 「画像」「検査」「生活機能」が別々に存在し、一本の説明にならない
- 退院時の状態が不明で、後から「その時点では軽いはず」と言われやすい
- 転院理由(回復期リハ目的等)が見えず、争点整理が散る
- どの病院のどの記録が重要かの当たりがつかず、取り寄せが増える
視点:退院サマリーで拾うべきポイント
退院サマリーは「経過の要約」なので、まずここを拾います。
- 入院期間(いつからいつまで)
- 主傷病・合併症(記載ぶれがあればメモ)
- 入院中の主要イベント(意識、せん妄様、手術、転棟等)
- 画像検査の実施と所見の要約(検査日も控える)
- リハ実施状況(OT/STの有無、焦点、退院時の到達点)
- 退院時所見(神経所見、認知面の記載、生活上の注意点)
- 退院後方針(外来、転院、検査予定、就労に関する指示があれば)
※“書いてあること”だけでなく、“書いてないこと”(退院時の認知面が空欄等)も、後で依頼状の追加質問ポイントになります。
視点:診療情報提供書(紹介状)で拾うべきポイント
紹介状は「次の医療機関に何を伝えたいか」が出ます。
- 紹介目的(何を評価・治療してほしいか)
- 現時点の課題(例:記憶、注意、遂行、行動、復職の可否 等の書きぶり)
- 検査・画像の位置づけ(実施済み/予定)
- 生活機能・家族状況に触れているか(短くても重要)
- 転院の場合、回復期リハへの期待(目標や観察点)
紹介状は短文でも、後から「当時の医療側の問題意識」を示す材料になります。
視点:転院・複数機関の“つなぎ”として使う
サマリー/紹介状は、時系列の接着剤として使います。
- 退院サマリー(A病院)→ 紹介状(A→B)→ 入棟時評価(B病院)
この3点が揃うと、前後の空白が埋まりやすく、矛盾が出ても「場面差」として説明しやすくなります。
逆に、この“つなぎ”が欠けると、後から資料が増えるほど整合が崩れがちです。
実務で強い整理の仕方(最小の型)
サマリー/紹介状は、次の型で抜き出すと後工程に流用できます。
- 資料名(退院サマリー/診療情報提供書)
- 作成日(いつの評価か)
- 対象期間(入院期間など)
- 要点(経過/退院時所見/今後方針)
- 根拠の当たり(画像日・検査日・リハ期間など“参照先”)
- 次の一手(取り寄せるべき記録/医師に確認すべき質問)
この形で時系列に置くと、「どの資料を深掘りすべきか」の優先順位も立てやすくなります。
相談(一次確認:22,000円/3営業日)
実案件の資料整理は、一次確認(資料スクリーニング)より承ります(弁護士・法律事務所向け/メールのみ)。
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※本記事は情報提供であり、医療行為・診断ではありません。

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