結論(先に要点)
高次脳機能障害(TBI含む)は、ADLが自立でもIADLや就労で破綻し得ます。実務上は、
- ADL/IADLのどこを見ている評価か(尺度の性格)
- 評価時期(いつの状態か)
- 実生活・就労・対人での具体と整合するか
を時系列で扱うと、「ADL自立=問題なし」という反論に対抗しやすくなります。
ADLだけで見てしまうと起きがちな落とし穴
- 身の回りができる=高次脳機能の問題なし、と短絡される
- 神経心理検査の点数だけの勝負になり、生活機能とのズレを突かれる
- 家族申告が中心になり「主観」と言われやすい
- できる場面(病棟/ルーチン)と崩れる場面(家庭/就労)の差が説明できない
視点:ADLとIADLは見ている“難易度”が違う
- ADL:食事、更衣、移動など(ルーチン化しやすい)
- IADL:予定管理、金銭、服薬、買物、手順、優先順位、安全管理など(同時処理が増える)
→ 高次脳機能の争点(注意・遂行・社会性)は、IADL側で露出しやすいです。
視点:評価尺度(FIM等)は「いつ」「どの場面」を評価したかが重要
- 入院中の評価か、退院後の評価か
- 介助や環境調整が入っていないか(見かけ上の自立)
- 評価者(病棟/リハ)や評価場面の違い
→ 点数だけを抜くと、後で「条件が違う」と崩れやすいです。
視点:生活機能(就労・対人)へ接続して初めて争点になる
ADL/IADL評価は、単独だと弱いので接続します。
- 就労:ミスの型、再現性、環境負荷、配慮の効果と限界
- 対人:会話、配慮、衝動性、トラブルの型
- OT/ST所見:具体行動と介入
→ これを時系列に置くと、「点数が良い/悪い」論争から離れられます。
実務で強い整理の仕方(最小の型)
- 評価名(FIM等)
- 評価日(いつ)
- 条件(場所、介助、環境調整の有無)
- どの項目が弱いか(IADLに効く項目の抽出)
- 同時期の根拠(OT/ST、看護、家族/職場、検査)
- 争点への接続(注意・遂行・社会性、就労/対人)
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※本記事は情報提供であり、医療行為・診断ではありません。

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