ADL自立でも争点は残る:高次脳機能障害/TBIで「監督の必要性」が消されるのを防ぐ(弁護士向け)

結論(先に要点)

高次脳機能障害(TBIを含む)の案件では、ADLが自立している(またはFIMが高い)と、相手方から「日常生活は自立=支障は軽い」と整理されやすくなります。
しかし実務上の争点は、ADLの可否そのものよりも、段取り・注意配分・病識・安全管理・対人面に由来する「生活上の支障」や「監督の必要性」に置かれることが多いです。

ADL自立は不利材料になり得ますが、だからといってADLを否定するのではなく、ADLと生活機能(IADL/就労/対人)のズレを、時系列と一次資料で説明できる形にすることが重要です。


ADL自立が“軽症ストーリー”の起点になる落とし穴

  • 「食事・更衣・移動ができる」ことだけが強調され、生活上の支障(IADL・就労・対人)が議論から落ちる
  • 介入(声かけ、見守り、環境調整、二重チェック)が前提なのに、「自立」と要約される
  • 検査点数やFIMの数字が前面に出て、支障が“出来事”として示されない
  • 家族申告が中心になり、「主観」「誇張」と処理される
  • 生活期(復職、家事、金銭管理など)の破綻が「性格」「適応」で切られる

ADL自立が問題なのではなく、ADL自立が“結論”として独り歩きすることが問題になります。


高次脳機能障害は「できる/できない」より「維持できない/任せられない」で争点化しやすい

高次脳機能障害の困難は、ADLのような単発動作よりも、以下の領域で表れやすい傾向があります。

  • 予定管理・服薬管理・金銭管理などのIADL
  • 複数作業、優先順位付け、確認、報連相などの就労場面
  • 危険予測、衝動性、疲労で崩れるなどの安全面
  • 対人場面での不適切さ、病識の弱さ(自己評価のズレ)

このタイプは、ADLが概ね自立でも「監督」や「見守り」が必要になり得ます。
そのため、争点に必要なのはADLの否定ではなく、生活機能に落ちる形での説明です。


「監督の必要性」は、言い切りより“根拠の束”で通しやすい

監督の必要性は、一般論で書くほど反論されやすい領域です。
説得力が出るのは、次が同じ方向を向いているときです。

  • 急性期:混乱・健忘・不穏等の観察事実
  • 回復期:OT/ST・看護での課題や介入(支援が必要だった事実)
  • 生活期:IADL・就労・対人での破綻(出来事としての記録)

ここが線でつながると、「ADL自立」の一言で回収されにくくなります。


「見守り」「声かけ」「環境調整」が前提の自立は、整理を誤ると逆効果になる

高次脳機能障害では、支援が入ると“できる”場面が増えます。これは自然です。
ただ、記録上は「見守りで可能」「促しで実施」「手順提示で遂行」などが散在し、読み手によっては「自立」と短く要約されます。

この要約が固定されると、後から「監督が必要」を主張しても、矛盾として扱われがちです。
だからこそ、ADL評価やリハ記録を単体で出すのではなく、他資料と接続し、“支援が入った状態”での成立を適切に位置づける必要があります。


実務で強い進め方:一次確認で「ADL自立が弱点になる構造」を早期に把握する

ADL自立がある案件ほど、こちらが先にやるべきは「不利要素を消す」ではなく、

  • どこまで言えるか
  • どこが相手に要約されやすいか
  • 何を追加すれば生活機能の線が通るか
    を短時間で見切ることです。

一次確認で骨格が固まると、その後の詳細整理、依頼状ドラフト、医学意見書がブレにくくなります。


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注意:本記事は情報提供です。医療行為(診断・治療)ではなく、後遺障害等級の認定・訴訟結果等の保証はできません。個人の方からの直接依頼は原則お受けしていません。

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